Book & travel,  NISEKO

まだ11月なんですけど?時ならぬ大雪をやり過ごす一冊。【北海道・ニセコ】

11月初めなのに、真冬の気圧配置!叩きつけるような吹雪!もちろん外は真っ白!

暴風雪のニセコよりお届けします。

今週は、週の半ばから怪しげな週間天気予報になっていました。

雪だるまが並んでいる・・・降水量23mm?最低気温-2℃だって???

こんな日はもう、お家にこもってしまいましょう。本棚から雪を描いた一冊を取り出しました。

雪国だって11月初めに降られたら辛いのだ

本題の前に補足しておきます。

降水量23mmは雨だとちょっと強めの雨、くらいの印象ですが、雪となると大雪の部類に入ります。確実に積もる。除雪が必要かもしれないレベルです。

しかし。たいてい、行政も民間企業も「除雪は12月から」と思っているので、1ヶ月も早く降られちゃ除雪の準備が整っていないわけです。これはサービス提供者が悪いんじゃなくて、予測できないから仕方ありません。

午前8時。完全に道路にも積もっていますね。

一晩でこの状況に激変です。

わわわ、等圧線の感覚狭すぎ!しかも982hPaの低気圧って、台風なら猛烈なレベルです。

24時間後も・・・完全に「西高東低」じゃないか!通常なら1月とか2月の気圧配置。

おまけに南の海上には台風・・・そこそこカオスな天気図ではないですか。

(前々職が理科教師の私は、このレアな天気図にちょっとだけテンション上がりました)

天気予報でも、暴風雪は明日の午前中まで続く、となっています。

さらに頭に来ることに・・・おそらく、本格的に積もる前に、

これだけ暴風雪をやらかしておきながら、一回まっさらにとけるはずです。

何事もなかったように大地が見える。

なんたる無駄な暴風雪か、とは思うものの、自然の猛威に勝てるわけもなく、

仕方なく1日家にこもることにして、本を取り出しました。

ニセコにまつわる科学者の話

取り出したのは、中谷宇吉郎「科学以前の心」です。

物理学者である中谷宇吉郎氏は、北海道大学に赴任して雪の研究をし、世界で初めて人工雪を作ることに成功しました。

雪の生成を、結晶の作られる過程と気象条件との関係から解明し、雪の結晶を顕微鏡写真として記録したりなど、低温環境下の気象現象について多くの功績を残しています。
中谷宇吉郎博士とニセコの関係は、戦時下の1943年にニセコアンヌプリ山頂に造られた着氷観測所で、ここで航空機への着氷現象についての研究をしていたのでした。

このとき研究に使われ、終戦時に廃棄された零戦は、今も倶知安町の倶知安風土館に保存されています。

この本は中谷宇吉郎博士のエッセイ集で、昭和10年ころ〜37年に書かれたものが収められています。

冒頭は、雪の研究にまつわるエピソードや、研究室の裏話、移住してきた札幌での暮らしのこと、そしてニセコに疎開していた時期のことも含まれています。

昭和11年、昭和天皇に北海道大学内で人工雪の結晶ができる様子をお目にかけたこと、この研究が戦後に映画化された際、当時皇太子であった上皇陛下にご進講したこと。

その縁でご進講の翌日、10年ぶりに昭和天皇へ再び雪のお話をすることになったこと・・・

この上京にあたって、ニセコでお世話になっていた家の女性が、お赤飯を炊いてくれたこと。

また樺太での研究にあたり、-25℃の酷寒の中トナカイの引くソリに乗って、遊牧生活を送る民族の家に行ったら、天幕1枚でできた家のなかが意外に暖かかったこと・・・

何より驚くのは、これ本当に100年近くも前の話なのか?と思うほどに文章がみずみずしく、親しみやすいのです。

氏の述べる科学的な見解や検証は、ときが流れたことを感じさせない、いま現在のこととして読んでも不思議がないくらい。

時代が変われどものごとの見極めや証明のプロセスは変わらないのだ、と思わされます。

研究の面白エピソードは軽やかに、科学的思考のエッセイはじっくりと。

さらっと楽しくも、じっくりと向き合うも楽しめる1冊だと思います。

ネット上で検索してみたところ、新品の紙の本は見つかりませんでした。中古の文庫本が何冊か出品されているようです。

電子書籍がいちばん便利そうです。

かくも鮮やかに心奪った、1つ目のエッセイ

この本の最初のエッセイで、北海道の十勝地方の雪を説明する一文があります。

なんの気なしに電子書籍をダウンロードして読み始めた私はこの一文で心奪われ、文庫本を探し、この本はずっと手元におこうと決めました。

「柔かく積み重なった雪の中にストックを差し込んで穴を作ると、その内部がアクアマリンのような色を呈することは誰にでも見られる現象である」

この一文を見ると、モノトーンの雪の中に色彩を見た中谷氏をすごいと思い、また希望が湧くように思うのです。

目をもてば、無彩色の中にも鮮やかな色を見ることができるのだと。

今日の本「科学以前の心」


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